Southwest Part 3 

PenzanceSt.Michael'sMountSt.IvesLyntonPorlockWeirBath                                             

 

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Penzance

 

 

夜の港 (Penzance)


 


夜の教会 (Penzance)

 

 

 

 

 

泊まったB&Bの様子 (Penzance)

 

 

 

昼の教会 (Penzance)

 

 

 

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St.Michael's Mount
National Trust

 

 

聖マイケルの山遠望  ( St.Michael's Mount )

 

聖マイケルの山に向かう途中の海岸線で車を止め、妻と2人でスケッチした。海岸には日光浴の人達がちらほら見えるが、水に入って泳いでいる人は殆どいない。
午前11時頃であったが、この時間はまだ聖マイケルの山への道は海の底であり、この写真でも海水によって覆われているのが分かる。点々と見えるのは交通のためのボートである。

 

 

海底の道 ( St.Michael's Mount )

 

 

聖マイケルの山をフランス語で言うと「モン・サン・ミッシェル」となる。
そう、あのフランスの有名な観光地だ。つまり全く同名の島がイギリスにも在るわけだ。その昔「告白王エドワード」がフランスのノルマンディー地方にあるべネディク派修道院モン・サン・ミッシェルにこの島を与え、 同名の修道院がここに作られることとなった。
フランスのそれと同じく離れ島だが、干潮になると海底の道が現れて歩いて渡ることが出来るようになるところまでそっくりというのは神のみ技か。
干満の差は4m以上ありそうだ。私達が遠くからスケッチなどしていた午前11時頃にはボートで行き来していたのに、午後2時頃近くへ行ってみると、もう海底の道が現れていた。
この道1400年初頭に作られたというから、既に500年以上を経過している。すり減った石の一つ一つに、長い歴史を背負ってきた存在感の様なものを感じた。
なお、この辺の海は遠浅の砂地で海草は殆ど無く、従って磯の香りというのは全くしなかった。
一度海水が引くと砂地は堅くなり、車で乗り回す事もできる。この点もフランスのノルマンデーと同じで、上陸作戦にはもってこいの場所だ。
 

 

 

 

聖マイケルの山は堅固な要塞でもある

 

 

 

聖マイケルの山の屋上から対岸を眺める

 

 

 

聖マイケルの山 ( St.Michael's Mount )

 

 

海底の道を歩いて聖マイケルの山にたどりつく。 島全体はなかなか堅固な作りで、要塞のよう。事実、修道院から没収された後要塞として使われた時期もあるようだ。 島への入り口付近の防波堤には5メートルくらいの高さに海水の跡が残り、干満の差の大きさを我々に見せつける。
階段をしばらく上ってゆくと修道院への入り口となる。ここからは有料であるが、この建物はナショナルトラストの所有であり、ナショナルトラストの会員は会員証を見せると無料で入場できる。
私達は前もって会員になっていたので入り口の係員、と言ってもボランティアであろうか、立派な身なりの紳士に会員証を提示する。彼はそれを見ると急ににこにこして、おー貴方達も私達の仲間だ、と握手の手を差し伸べる。私達も、有難う、ご苦労さん、等と言いながら力強く握り返す。 
単なる観光客ではなく、意識を持った同士としての扱いをして貰ったようで、何となく嬉しくなる。

 

 

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St.Ives 

 

 

セント・アイヴズの入り江 (セントアイヴズ)   Inlet of St.Ives  (St.Ives)  

 

ランド・エンズに行こうと思うが、と話すと、マックラケン氏は断固とした口調で、あそこには行く必要がない、時間がもったいないと言う。
温厚なジェントルマンである彼にしてははっきり言うな、と思っていたが、日本に帰ってナショナル・トラストについて触れた本を読んで理解した。 

殆ど開発が手付かずだった1982年にナショナル・トラストはそこの地主と買い取り交渉をした。しかし値段の点で折り合わず、ナショナル・トラストは泣く泣く取得をあきらめた。その後この土地には俗悪な建物が次々と建てられ、「ランズ・エンドの目を覆いたくなるような醜悪な開発」となってしまった。
 
私が、じゃセント・アイブズは?と聞くと、彼は笑顔で、あそこはいい是非行くべきだと、行き方その他について色々アドヴァイスしてくれた。 彼の忠告にしたがって、町外れの駐車場に車を止め徒歩で港へ向かう。家々の間を過ぎて坂道にさしかかると、坂の向こうに突然マリンブルーの美しい海が見えた。私達は歓声をあげ、急ぎ足となる。一刻も早く港全体が見たいのだ。
日光浴の客がきれいに列を為して寝そべっている砂浜を眼下に見下ろしながら左手に向かって進むと、やがて見晴らしの良い高台に出くわした。ここからは沢山の石造りの民家に囲まれた入り江が一望できる。今は干潮で海水は遠くに後退し、沢山の船が砂地の上で傾いている。 岸壁近くでは日光浴の客が思い思いにくつろいでいる。対岸の高台の上には、昔からの物であろう石造りの小屋が見えるが、監視小屋だったのかも知れない。

この地は風光明媚で明るい太陽が降り注ぎ冬でも比較的暖かいため、鉄道開通した1880年頃から次第に芸術家が集まるようになり、陶芸家の浜田庄司やバーナードリーチが窯を開いた1920年頃には芸術村として広く名を知られるようになった。美術に関するしゃれた店が町のそこここに見られ楽しい。
ここも含め英国南西部では日本人に出会う事は殆ど無かった

 

 

 

女  と  灯  台  (セント・アイヴズ)  A woman and the lighthouse(St.Ives)  


遠浅の海岸は、今、干潮だ。
後退した海は、遠くで青や緑のまま留まっている。
海鳥達も海水のほうへ行ったまま戻ろうとしない。
熱い太陽と昼下がりのけだるさの中で、全てが物憂く溶けかかっている。

広い砂浜の日光浴の一団から遠く離れて、 一人の女性が佇んでいる。
何か悩み事でもあるのだろうか?
彼女の陰が足下から灯台へと向かって伸びている。  
明るく輝く空と海と、彼女の暗い陰。……そしてそれを見ている私……  

一陣の風が舞った時、ふと思った。

・・・・・これらは偶然の組み合わせに過ぎないが、この一瞬は確かに実在し、 私はこの光景を決して忘れないだろう‥‥‥‥‥と。

熱い 太陽が、私にそう思わせたに違いない。

 

 

赤 い 帆 船   (セント・アイブズ St.Ives)  


セント・アイブズは空も海も実に美しい。
特に海は、ブルーとグリーンのグラデーションが場所によって微妙に変化して深みのある美しさを演出しているが、岸辺に近づくにつれてそれに砂地の黄色のグラデーションも加わって眺めていて飽きることが無い。海水それ自身が固有の色を持っていているかのようだ。

よく見ると海水客の様子も、めいめい自分なりの仕方で海という自然を満喫しているかのようで、日本のそれとはだいぶ趣を異にしている。この後でもたびたび感じた事であるが、自然への接し方が日本人と英国人とでは明らかな違いがあって、英国人のほうが自然を体全体で吸収しようという姿勢において、より真摯である。勿論、自然の中では仲間内ではしゃいだり騒いだりすることは皆無であった。
写真の赤い帆船はセント・アイブズを海から眺めるための遊覧船のようで、堤防の先端では順番待ちの客が列をなしていた。
赤い帆が青い海に映えて美しく、出来る事なら、いつまでもいつまでもぼんやりと眺めていたかった。

 

 

2羽のカモメ (セント・アイブズ) Two Seagulls (St.Ives)  


さて、今我々はセント・アイブズの入り江が一望できる高台のベンチに腰を下ろしている。
空は晴れているが、薄い雲が時々陰を作ったと思うと少しの間を置いてぱっと晴れてあたりが急に明るく輝く、その繰り返しだ。
何枚か対岸の家並みの写真を撮ったところで、弁当のサンドイッチを広げた。質素な内容でも美しい風景を眺めながらの食事は美味しく楽しい。時々手を休めては、干上がった砂浜で遊ぶ人達の様子や、海の青さに見入ったりする。
そのうち2羽のカモメが我々のベンチのすぐ前の石の柵に舞い降りてきた。真正面までよちよちと歩いてくると、2羽でじっと我々の口元を注視している。サンドイッチを分けて欲しいのだ。しばらく無視して食べ続けるが、その間もじっと動かず見つめ続ける。こちらとしては何となく落ち着かない気分になってくるが、追い払うには彼等の瞳は、余りに健気だ。彼等の白い姿と、バックの青い海、足下の赤い花の調和が気に入って、「今あげるから待っててね」等と声をかけつつ、一枚パチリ。
最後にパンの縁を投げ与えると、上手にそれをキャッチして飲み込んだ。
食後海岸沿いの道路を歩いていくと大きな看板。「鳥に餌を与えないで!」

 

 

 

岸辺への坂道

 

 

 

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Lynton

 

 

雄大なバーリー・オブ・ロックス人が小さく見える

 

 

 

野生の山羊と家族(リントンにて) Wild goat and family ( Lynton )    


リントンで泊まったB&Bは大変に美しく、宿の主人も親切な紳士だった。彼に勧められて、バーリー・オブ・ロックス迄散策した。 天候はあいにくであったが、海岸線に沿って大きな岩と断崖が連なり、雄大なパノラマが楽しめた。
野生動物もそこそこに見られた。この写真では左上の高いところに野生のバーバリーゴート(山羊)が座っている。
この一家はまだ気付いていないが、私が教えると子ども達は大喜びしていた。

 

 

ヒースの花 ( リントン ) Heath  ( Lynton )


可憐なピンクの花を見つけた妻は犬を連れて通りかかった散歩の老夫婦に聞いてみた。「ああ、それはヘザーって言うんだよ」。老人が訛りの強い英語で教えてくれた。つまりヒースの事だった。
私の中では、ヒースというと嵐が丘のイメージと結びつけられていて、荒れ地に咲く地味な花を想像していたが、実際に見るヒースの花は愛らしい可憐な花だった。もうしばらくすると、向こうの丘はこの花で全体がピンクに染まるとか。
「ほら向こうが、フォックスグラブだ。」「ああ、狐の手袋ね」
英国人は誰でも草花が大好きで、実に良く知っている。

 

 

 

強い風は木を矯める

 

 

 

 

私達が泊まったB&B Longmead House Hotel 小さいがこぎれいだ

 

 

 

リントンのアベック

 

 

 

高台はエクスムーアの荒れ地

 

 

 

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Porlock Weir

 

 

小さな漁港(ポーロック・ワイア) A small fishing village (Porlock Weir)  

 

コーンウォール地方北部は南部と違い気候も今一つで、観光客の影もまばらだ。
エクスムーア国立公園という荒涼とした荒れ地が丘陵の上に広がっているが、同じ荒れ地でも南部のダートムーア国立公園程には人気がないようで、もちろん日本人観光客は皆無に等しい。
エクスムーアの荒れ地を背後に控えた無名のこの漁港は、あまり観光化が進まず、昔ながらの姿を留めている。そのため徐々に人気が出ているそうで、結構沢山の車が駐車場に止まっていた。リントンで宿泊したB&Bの主人が教えてくれた。
今は干潮で、海水は遠浅の砂浜のはるか向こうに退いているが、海から漁港への通路は少し低くなっており船着き場にはかろうじて海水が残っているのだ。この写真の右端に写っている老人は夫婦で旅行中で、我々を日本人と見て話しかけてきた。昔日本に来たことがあると言う。このミノルタはその時買ったのだが、故障一つせず映りも良く満足している、と胸の古い一眼レフを指し示して、にっこりした。奥さんは、最近観光地はどこへ行っても物価が高いとこぼしていた。古い漁師の家をバックにして、我々の写真を撮ってくれた。

 

 

ポーロック・ワイアの船   Boats at anchor ( Porlock Weir )  


私は停泊している船を眺めるのが好きだ。
船に塗られた色とりどりのペンキが水面に反射しているさまが好きだ。
彼らの姿は小さな波で時々乱されるが、必ずもとの姿に戻ゆくのが不思議に思える。
彼らは大海では必死に波と戦う。
しかし、今彼らは休んでいる。
‥‥‥‥‥彼らは静かな勇者なのだ。

I like looking at boats at anchor. 
I like the reflexion of boats painted in various colors on the water.   
Sometimes their figures are distorted by little waves,   but miraculously they always recover as before.  
The boats fight desperately against waves in the ocean, but now they are resting.
They are quiet heroes.

 

 

 

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Bath

 

 

バース・アビー (バース市)   Bath Abbey


大きな建物がある都市をいくつか回ってからバースに着くと、この町がとても明るく見える。
それまでの都市では大きな建物がどれも黒ずんで、あたかも歴史の重みを背にして暗く沈んでいるかのようであった。 しかしここバースでは建物がとても明るくきれいだ。 都市計画の一環として、壁浄化作戦でもあったのであろうか。 そして何となくお洒落な優雅な雰囲気もある。 かつて英国上流階級が保養地として沢山訪れたためだろう。 もし宿を予約していなかったらこの町に1泊して優雅なレストランでディナーを楽しむんだったが・・・・・・残念!

 

 

ローマン・バス・ミュージアムへの道 (バース市)
The road to Roman Baths Museum (Bath)


この写真でも分かるように、町の至る所に花が飾られている。 地面がなくとも構わない。
ハンギングバスケットをあちこちから吊してそれに色とりどりの花を活けるのだ。その色合いの組み合わせは実に巧みで、とてもセンスがよい。しかも何処でも枯れた花が一つも無い。きっと毎日丁寧に手入れをするのだろうが、高いところにある花はどうやって手入れするのか謎であった。
 

 

 

 

銅像ショー(ローマンバスミュージアム前で・バース市) Statue Show (Bath)

 


ローマンバスミュージアムの正面入り口での一こま。
風呂は英語で言うとバスとなるが、これはそもそも温泉があったここの地名に由来するそうである。この場所は紀元1世紀にはローマ人の間でお洒落なリゾート地として栄えていた。地下の博物館にはここから発掘されたローマ時代の遺物が多数展示されている。 そして2000年前に作られたというのに今だに温泉がこんこんと出ているのだ。

博物館に着くと、その前では沢山の人だかりがしている。みんな壁のくぼみに立っている2体の銅像をじっと注視している。 全く動かないので最初は本当の銅像かと思った・・・・少々色合いがおかしくはあったが・・・・人々の群に混じって私達もじっと注視していると、その内古い機械仕掛けの人形のように、ギギギギ・・と腕が動き出しそれに合わせてゆっくりと首が、目が動いて、新たなポーズに収まると、また微動すらしなくなる。見事なものだ。 
よく見ると足下にはお金を入れる帽子が置いてある。 何枚か写真を撮らせて貰ったので、お礼の意味で小銭を入れてやった。 すると女性像の方が、ゆっくりと首を傾げて私の方に礼をするではないか。その時の眼差しが何と表現したらよいだろう、大変に魅力的だった。私をじっと見るでもなく、かといって見ないでもない、大変に微妙な目の使い方、ただの機械仕掛けではなく何となく色っぽさもあって・・・・私は銅像に恋をしてしまうところであった。

 

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