top page

 

 

 

小原雅夫 イギリス写真展

 

 

From Countryside in England

 

Part 1

 

 

 

 

 

***************************************************************************************

 

Stonehenge---Salisbury

 

 

 

***ストーン・ヘンジ  (ソールズベリー郊外)   Stonehenge (near Salisbury)  

 

 

歩き疲れて、私達はきれいに刈られた芝の上に腰を下ろした。
先ほどまで曇っていたのに陽がさし始め青空が顔を出した。
陰影を帯びたストーンヘンジの姿にぼんやりと見とれていると、 遠くからブルブルという爆音がする。見上げると3機のヘリコプターがこちらへ向かってくる。他の観光客も皆空を見上げ、そしてそれを見送る。爆音が小さく小さく遠ざかっていくと、今度は次第に鳥の鳴き声が聞こえてきた。
雲雀だ。ヘリコプターに向かって自分のテリトリーを主張しているのだろうか。
その時ふと思った。
この石達は何千年もの間様々なものを見続けてきた。
かけ声を掛けあいながら石を運ぶ何千という太古の人達に始まり、
今は爆音と共に空を飛ぶ金属の塊だ。
しかし、その間中ずっと友であり続けたのが、この雲雀ではなかったのかと。

一番大きな石は45トン高さ6、6メートルもあり、最近の考古学調査の結果では第一期は紀元前3050年頃に作られ始め、現在残っているのは第三期のもので、紀元前2600年から1600年までのまでの間に作られ続けた。今ではどの石がどの山から運ばれたかは分かっているが、運搬、組み立て方法はまだよく分かっていない。

 

 

ソールズベリのカラフルな扉(ソールズベリー)  Doors in Salisbury.

 

B&Bにいったん荷物を置いてから、町の散策と夕食のため市の中央部に向かう。同じ道なのに、今度は身軽なせいか、景色の見え方が違う。つい先程通った道なのに、新たな発見がある。
この写真の扉もそうだ。建物に使う石材は土地毎に大体決まっているため、石造りの町並みが続くと単調になりがちである。彼等はそれから逃れるために、花で飾り立てたり、扉の色を工夫したりする。
ここでは、5件の家で相談したのであろうか、きれいに扉をペンキで塗り分けている。

 

 

水やり (エイヴォン川にて)  Watering (Salisbury)


散策途中、川に出会った。この川も市の中心部に向かっているようなのでこれに沿って行く事にした。おあつらえ向きに、ちゃんと遊歩道もある。
ソールズベリーの町中を流れるこのエイヴォン川は実にきれいな流れだ。水底の草の一本一本までがはっきりと見て取れる。川沿いの道を歩いてゆくと川に面した家はどこでもこの川を自分の庭の一部として取り込んでいるが、植木への水やりにはもってこいだ。写真のようにバケツにひもを付けて川に放り込み水を汲む。餌を探している水鳥がそれをじっと見つめる。

 

 


ソールズベリー大聖堂の若者達 Youth at Salisbury Cathedral.  

 

1220年から1258年にかけて建てられたゴシック調のこの聖堂は、大聖堂と呼ばれるだけあって、圧倒的なスケールで我々を迎えてくれた。120mの尖塔はイングランドで最も高いとか。
800年を経た石の壁は風化が進み落石の危険もあるようだ。建物の足下に落石注意の道路標識が使われていたのは何となくおかしかった。
周囲はきれいな芝が敷き詰められ、そこに若者達が腰を下ろして聖堂を見上げている。
何人か集まれば大声のお喋りに明け暮れる日本人の若者と違い、彼等は静かに語り、じっと聖堂を見上げる。手前のカップルは何やら楽しそうにふざけあっている。
古色蒼然とした大聖堂の壁と、人生はこれからの若者達。この取り合わせが素敵に思えた。

 

 

 

音楽会が始まる大聖堂の内部(ソールズベリー)
Inside of the Salisbury Cathedral.

 

聖堂の内部に入ろうとすると,今日はこれからコンサートがあるので内部の見学は駄目だという。しかし切符を買えば中を見ることは出来るそうな。曲目はハイドンの「ネルソン卿ミサ」。海外でチャペルコンサートを一度聴いてみたいと思っていた我々にとって千載一遇のチャンス。喜んで切符を購入するが、B席で一人2ポンド(当時約500円:プログラム1ポンド)と安い。中央の立っている婦人が切符を点検して前の席、後ろの席と指示してくれる。開演までまだ時間があるので、内部を見学するが、安い席は後ろなので教会の後半分は見学できたが前は駄目だという。ずるしてこっそり高い席に座られるのを警戒しているのだろう。しかしご覧のように後ろは結構席が埋まってきたが、前半分はがらがらだ。そのうち責任者とおぼしき人が、後ろの席の私達に向かって大きな声で合図を送った。「皆さんどうぞ前に詰めて下さい」。みんなにこにこしながら前に移動する。
安い料金だったので、地元の人達が出演するささやかなコンサートかと思っていたが、プログラムを読んでみると、The International Cathedral Music Festival という催しの一環で、ソールズベリーの他、ロンドン、コヴェントリーなどで7回の演奏会が計画されていた。独唱陣も国際的に活躍している人達で、実際演奏も、予期に反して、堂々たる物であった。旅の良い思い出となった。

 

 

 

***************************************************************************************

 

Killerton
National Trust

 

 

 

庭園のカップル(キラートン)
A couple in Killerton.

 

エクセターでレンタカーを借りて先ず向かったのがこのキラートンだ。エクセターから車で1時間くらいだが、英国で初めての運転とあって緊張の連続。事務所の女性が書いてくれた地図を頼りに何とかたどり着いた。それにしても運転初日が晴天で良かった。英国の人は皆大変な高速で走るのでこれで雨でも降っていたら疲労は倍増するだろう。
さて、ここキラートンはナショナルトラスト所有の広大な庭園でいろんな種類の樹木や草花が集められている。駐車場からこの中心となる建物まで結構な距離を歩かねばならないが、この写真の右手に一段低くなって牧草地がはるか遠くまで続いている。何という広さだろう。ここも維持しきれなくなった元の領主がナショナルトラストに寄付することで土地の分散を防いだのだろう。

 

 

 

面白い花弁を持った花(キラートン) Killerton

 

 

 

***************************************************************************************

 

Cockington village

 

 

 

***緑のトンネル  (コッキントン・ビレッジ)
A green tunnel (Cockington village)

 



暑い日差しの中を歩いてうっすらと汗ばんだ体には、緑のトンネルは最高のプレゼントだ。涼しさに加えて、柔らかな緑の階調が見た目に清々しい。
7月も終わりだというのに、ここイギリスの緑は十和田湖の新緑のような若々しい輝きを放っている。平均気温が低いせいだろうか。
私達はコッキントン・コートへ行こうとしてこの道に迷い込んだのだが、どうやらこの道は一般の観光道路とは違うようだ。 道の所々にあるぬかるみは牛の蹄の跡で一杯だ。まだ柔らかい牛の糞も見受けられる。少し前に牛の群れがここを通ったのだろう。
「これぞ田舎の道だ!」
私達は吹き抜けていく一陣の涼風の中で満足した。

After you have walked in the heat of summer, you will find a tunnel of green bush a nice present  for you. It feels cool to your body, and is pleasant to look at. It was already late July, but tree leaves in England looked as fresh as those seen around Lake Towada in spring.. Is it because the average temperature is a little lower here?   We strayed into this lane on the way to Cockington Court. It didn't look like an ordinary route for visitors, for it was muddy and there were a lot of traces of cow hoofs and even droppings here and there. It seemed that a herd of cows had passed a while before.
We were much satisfied with the real country road.  

 

 

 

***静かな2人(コッキントン・コートのバラ園・トーキー市近郊)
A silent couple (The rose garden in Cockington Court)


広いバラ園では、バラも盛りを過ぎ、訪れる人もまばらだ。
もうしばらく前から、一組の男女が中央のベンチに腰掛けている。
二人ともずっと黙ったままだ。 柔らかな日差しの中で、時々、鳥の鳴き声がする、
風がそよぐ。‥‥でもやはり二人は黙ったまま。
あれこれ話さなくてもよいだけの、十分な時間が、二人の間を流れたのだろう。

蔦に覆われた古色蒼然とした煉瓦塀の内側にはポールが一定間隔で長方形に並び、その先端を繋ぐように太いロープが張り巡らしてある。勿論このロープはバラを這わせるための物だ。私達は塀とポールの間の回廊をゆっくりと散歩する。まだ残っているバラもあるが、大半は萎れかけていて何となく哀れだ。
よく注意してみるとポールにも、所々に置いてある木製のベンチにも小さな金属のプレートが貼ってある。読んでみて分かった。英国では死者の思い出のために、公共の場へ、ベンチなど何か役に立つ物を贈る習慣があるのだ。  

   その一つ………「愛すべき思い出
              ジョイス・ハント/1919年8月26日−1993年8月6日
                       私達はいつもあなたを愛し、思い出します」

Roses are overblown and there are only a few people in the rose garden now.  
A man and a woman have been sitting on the bench for a long time. 
They have been keeping silence. 
Every now and then birds sing and breezes rise in the soft sunshine. ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  
Plenty of time may have passed away between the two.
And they don't need to talk away.  

 

 

 ***花に埋もれた扉 (コッキントン村)
The door closed by the flowers (Cockington village)


英国人の花好きは有名だが、この家では花のためについに扉の一つを犠牲にしてまったらしい。つい、「朝顔につるべ取られて貰い水」の句を連想してしまった。
色とりどりの花をミックスする手腕は彼等のお得意であるが、水平方向だけではなく垂直方向に花を配置するセンスもなかなかのものだ。暗くなっても花が浮かび上がって見えるようにと、電球までセットしてある。
これも、自分達だけが楽しむのではなく、通りがかりの人たちの目を楽しませようという、いわばボランティア精神の発露ではなかろうかと、思ってしまった。 
ともかく、英国では、どんな田舎のどんな粗末な家でも家の周囲をきれいに草花で飾りたてている。ここに見られる沢山の花はどれも見事に咲いているが、枯れた花が一つも見当たらない。毎日愛情を込めて手入れしているのだろう。
     

 

 

**茅葺きの民家 (コッキントン村) A thatched roof (Cockington village)

 

 

 

 

コッキントン・コートのステンドグラス

 

 

 

***************************************************************************************

 

Torquay---Paignton

 

 

 

**トーキーの天使 (トーキー市) Angle in Torquay


ここは英国のリビエラと呼ばれ、アガサ・クリスティーの生まれ故郷としても有名な町トーキーである。 日本ではそんなに人気があるわけではないが、英国では海に面したリゾート地として有名で、町全体明るく、少しおしゃれな雰囲気もある。また海の色の美しさも格別である。
私たちはここに宿を見つけることが出来ず、隣町のペイントンに宿泊したのだが、有名なフィッシュアンドチップスの店があると言うことで、それを捜しに来たところだ。
海岸線沿いの道路から丘に登ってきた所で古そうな教会を見つけ、覗いて見ることにした。残念ながら鍵が掛かっていて中には入れなかったが、入り口付近の壁にくっついている小さな天使の像に目が止まった。大昔に火災にでも遭ったのだろうか。所々黒く焦げていて、表面は剥離し、なんとも無惨な姿である。このままほおっておいたなら、間違いなく近い将来には風化して無くなってしまうであろう。 痛々しくはあるが、じつに可憐な表情で、しっかりと合わせた両手の様が実に可愛らしい。 このような小さな優しい存在に何百年という歴史の重荷を負わせることは少し酷ではないだろうか。そんな気がしてしょうがなかっ た。


 

 **海 の 家  (ペイントン)  
Sheds at Paignton beach (National Trust)

 

 

このカラフルな小屋の群れは、海の家である。 この小屋達の向こう側に海があり、海に面しても背中合わせに小屋が並んでいる。利用者はお金を払って鍵を受け取り、借りた小屋の中で着替えをする他、中に用意されているデッキチェアーを外に出して日光浴することもできる。
英国で車を運転した初日で、エクセター、キラートンと長時間運転して、とても疲れていたが、ようやく迷い迷いペイントンにたどり着いた。 何度人に道を聞いたろうか?
ペイントンの海岸を走っているとふとこの建物群が目に止まった。地平線に近づいた夕日が町全体を照らしているが、バックの空が暗いため海の家が浮き上がって輝いている。この光景があまりに印象的だったので翌日夕方再度行ってみたが駄目だった。

 

 

不思議な植物と蜂 (コールトン・フィッシュエークル) 
 Coleton Fishacre (National Trust)

 

 

 

ダーティントン・ホールでの日向ぼっこ  
A sunbath in Dartington

 

 

 

***************************************************************************************

 

St. Michaes's Mount
National Trust

 

 

**海底の道 ( St.Michael's Mount )


聖マイケルの山をフランス語で言うと「モン・サン・ミッシェル」となる。
そう、あのフランスの有名な観光地だ。つまり全く同名の島がイギリスにも在るわけだ。その昔「告白王エドワード」がフランスのノルマンディー地方にあるべネディク派修道院モン・サン・ミッシェルにこの島を与え、 同名の修道院がここに作られることとなった。
フランスのそれと同じく離れ島だが、干潮になると海底の道が現れて歩いて渡ることが出来るようになるところまでそっくりというのは神のみ技か。
干満の差は4m以上ありそうだ。私達が遠くからスケッチなどしていた午前11時頃にはボートで行き来していたのに、午後2時頃近くへ行ってみると、もう海底の道が現れていた。
この道1400年初頭に作られたというから、既に500年以上を経過している。すり減った石の一つ一つに、長い歴史を背負ってきた存在感の様なものを感じた。
なお、この辺の海は遠浅の砂地で海草は殆ど無く、従って磯の香りというのは全くしなかった。
一度海水が引くと砂地は堅くなり、車で乗り回す事もできる。この点もフランスのノルマンデーと同じで、上陸作戦にはもってこいの場所だ。
 

 

 

堅固な要塞 (聖マイケルの山)

 

 

 

**聖マイケルの山 ( St.Michael's Mount )


海底の道を歩いて聖マイケルの山にたどりつく。 島全体はなかなか堅固な作りで、要塞のよう。事実、修道院から没収された後要塞として使われた時期もあるようだ。 島への入り口付近の防波堤には5メートルくらいの高さに海水の跡が残り、干満の差の大きさを我々に見せつける。
階段をしばらく上ってゆくと修道院への入り口となる。ここからは有料であるが、この建物はナショナルトラストの所有であり、ナショナルトラストの会員は会員証を見せると無料で入場できる。
私達は前もって会員になっていたので入り口の係員、と言ってもボランティアであろうか、立派な身なりの紳士に会員証を提示する。彼はそれを見ると急ににこにこして、おー貴方達も私達の仲間だ、と握手の手を差し伸べる。私達も、有難う、ご苦労さん、等と言いながら力強く握り返す。 
単なる観光客ではなく、意識を持った同士としての扱いをして貰ったようで、何となく嬉しくなる。

 

 

***************************************************************************************

 

St. Ives

 

 

 

***セント・アイヴズの入り江 (セントアイヴズ)  
 Inlet of St.Ives  (St.Ives)  

 

ランド・エンズに行こうと思うが、と話すと、マックラケン氏は断固とした口調で、あそこには行く必要がない、時間がもったいないと言う。
温厚なジェントルマンである彼にしてははっきり言うな、と思っていたが、日本に帰ってナショナル・トラストについて触れた本を読んで理解した。 

殆ど開発が手付かずだった1982年にナショナル・トラストはそこの地主と買い取り交渉をした。しかし値段の点で折り合わず、ナショナル・トラストは泣く泣く取得をあきらめた。その後この土地には俗悪な建物が次々と建てられ、「ランズ・エンドの目を覆いたくなるような醜悪な開発」となってしまった。
 
私が、じゃセント・アイブズは?と聞くと、彼は笑顔で、あそこはいい是非行くべきだと、行き方その他について色々アドヴァイスしてくれた。 彼の忠告にしたがって、町外れの駐車場に車を止め徒歩で港へ向かう。家々の間を過ぎて坂道にさしかかると、坂の向こうに突然マリンブルーの美しい海が見えた。私達は歓声をあげ、急ぎ足となる。一刻も早く港全体が見たいのだ。
日光浴の客がきれいに列を為して寝そべっている砂浜を眼下に見下ろしながら左手に向かって進むと、やがて見晴らしの良い高台に出くわした。ここからは沢山の石造りの民家に囲まれた入り江が一望できる。今は干潮で海水は遠くに後退し、沢山の船が砂地の上で傾いている。 岸壁近くでは日光浴の客が思い思いにくつろいでいる。対岸の高台の上には、昔からの物であろう石造りの小屋が見えるが、監視小屋だったのかも知れない。

この地は風光明媚で明るい太陽が降り注ぎ冬でも比較的暖かいため、鉄道開通した1880年頃から次第に芸術家が集まるようになり、陶芸家の浜田庄司やバーナードリーチが窯を開いた1920年頃には芸術村として広く名を知られるようになった。美術に関するしゃれた店が町のそこここに見られ楽しい。
ここも含め英国南西部では日本人に出会う事は殆ど無かった

 

 

 

**女  と  灯  台  (セント・アイヴズ)  
A woman and the lighthouse(St.Ives)  


遠浅の海岸は、今、干潮だ。
後退した海は、遠くで青や緑のまま留まっている。
海鳥達も海水のほうへ行ったまま戻ろうとしない。
熱い太陽と昼下がりのけだるさの中で、全てが物憂く溶けかかっている。

広い砂浜の日光浴の一団から遠く離れて、 一人の女性が佇んでいる。
何か悩み事でもあるのだろうか?
彼女の陰が足下から灯台へと向かって伸びている。  
明るく輝く空と海と、彼女の暗い陰。……そしてそれを見ている私……  

一陣の風が舞った時、ふと思った。

・・・・・これらは偶然の組み合わせに過ぎないが、この一瞬は確かに実在し、
私はこの光景を決して忘れないだろう‥‥‥‥‥と。

熱い 太陽が、私にそう思わせたに違いない。

 

 

**赤 い 帆 船 (セント・アイブズ)
Red sailboat (St Ives)  


セント・アイブズは空も海も実に美しい。
特に海は、ブルーとグリーンのグラデーションが場所によって微妙に変化して深みのある美しさを演出しているが、岸辺に近づくにつれてそれに砂地の黄色のグラデーションも加わって眺めていて飽きることが無い。海水それ自身が固有の色を持っていているかのようだ。

よく見ると海水客の様子も、めいめい自分なりの仕方で海という自然を満喫しているかのようで、日本のそれとはだいぶ趣を異にしている。この後でもたびたび感じた事であるが、自然への接し方が日本人と英国人とでは明らかな違いがあって、英国人のほうが自然を体全体で吸収しようという姿勢において、より真摯である。勿論、自然の中では仲間内ではしゃいだり騒いだりすることは皆無であった。
写真の赤い帆船はセント・アイブズを海から眺めるための遊覧船のようで、堤防の先端では順番待ちの客が列をなしていた。
赤い帆が青い海に映えて美しく、出来る事なら、いつまでもいつまでもぼんやりと眺めていたかった。

 

 

**2羽のカモメ (セント・アイブズ) Two Seagulls (St.Ives)  


さて、今我々はセント・アイブズの入り江が一望できる高台のベンチに腰を下ろしている。
空は晴れているが、薄い雲が時々陰を作ったと思うと少しの間を置いてぱっと晴れてあたりが急に明るく輝く、その繰り返しだ。
何枚か対岸の家並みの写真を撮ったところで、弁当のサンドイッチを広げた。質素な内容でも美しい風景を眺めながらの食事は美味しく楽しい。時々手を休めては、干上がった砂浜で遊ぶ人達の様子や、海の青さに見入ったりする。
そのうち2羽のカモメが我々のベンチのすぐ前の石の柵に舞い降りてきた。真正面までよちよちと歩いてくると、2羽でじっと我々の口元を注視している。サンドイッチを分けて欲しいのだ。しばらく無視して食べ続けるが、その間もじっと動かず見つめ続ける。こちらとしては何となく落ち着かない気分になってくるが、追い払うには彼等の瞳は、余りに健気だ。彼等の白い姿と、バックの青い海、足下の赤い花の調和が気に入って、「今あげるから待っててね」等と声をかけつつ、一枚パチリ。
最後にパンの縁を投げ与えると、上手にそれをキャッチして飲み込んだ。
食後海岸沿いの道路を歩いていくと大きな看板。「鳥に餌を与えないで!」


 

***************************************************************************************

 

Lynton---Porlock Weir

 

 

 

 

バーリー・オブ・ロックス (リントン)
Lynton

 

 

 


**野生の山羊と家族(リントンにて)
Wild goat and family ( Lynton )

リントンで泊まったB&Bは大変に美しく、宿の主人も親切な紳士だった。彼に勧められて、バーリー・オブ・ロックス迄散策した。 天候はあいにくであったが、海岸線に沿って大きな岩と断崖が連なり、雄大なパノラマが楽しめた。
野生動物もそこそこに見られた。この写真では左上の高いところに野生のバーバリーゴート(山羊)が座っている。この一家はまだ気付いていないが、私が教えると子ども達は大喜びしていた。

 

 

 

高台はエクスムーアの荒れ地

 

 

 


***小さな漁港(ポーロック・ワイア)
A small fishingvillage (Porlock Weir)


コーンウォール地方北部は南部と違い気候も今一つで、観光客の影もまばらだ。
エクスムーア国立公園という荒涼とした荒れ地が丘陵の上に広がっているが、同じ荒れ地でも南部のダートムーア国立公園程には人気がないようで、もちろん日本人観光客は皆無に等しい。
エクスムーアの荒れ地を背後に控えた無名のこの漁港は、あまり観光化が進まず、昔ながらの姿を留めている。そのため徐々に人気が出ているそうで、結構沢山の車が駐車場に止まっていた。リントンで宿泊したB&Bの主人が教えてくれた。
今は干潮で、海水は遠浅の砂浜のはるか向こうに退いているが、海から漁港への通路は少し低くなっており船着き場にはかろうじて海水が残っているのだ。この写真の右端に写っている老人は夫婦で旅行中で、我々を日本人と見て話しかけてきた。昔日本に来たことがあると言う。このミノルタはその時買ったのだが、故障一つせず映りも良く満足している、と胸の古い一眼レフを指し示して、にっこりした。奥さんは、最近観光地はどこへ行っても物価が高いとこぼしていた。古い漁師の家をバックにして、我々の写真を撮ってくれた。

 

 

 


***ポーロック・ワイアの船   Boats atanchor ( Porlock Weir )  

 

 

私は停泊している船を眺めるのが好きだ。
船に塗られた色とりどりのペンキが水面に反射しているさまが好きだ。
彼らの姿は小さな波で時々乱されるが、必ずもとの姿に戻ゆくのが不思議に思える。
彼らは大海では必死に波と戦う。
しかし、今彼らは休んでいる。
‥‥‥‥‥彼らは静かな勇者なのだ。

I like looking at boats at anchor. 
I like the reflexion of boats painted in various colors on the water.   
Sometimes their figures are distorted by little waves,   but miraculously they always recover as before.  
The boats fight desperately against waves in the ocean, but now they are resting.
They are quiet heroes.

 

 

***************************************************************************************

Bath

 

 


銅像ショー(ローマンバスミュージアム前で・バース市)
 Statue Show (Bath)

  


ローマンバスミュージアムの正面入り口での一こま。
風呂は英語で言うとバスとなるが、これはそもそも温泉があったここの地名に由来するそうである。この場所は紀元1世紀にはローマ人の間でお洒落なリゾート地として栄えていた。地下の博物館にはここから発掘されたローマ時代の遺物が多数展示されている。 そして2000年前に作られたというのに今だに温泉がこんこんと出ているのだ。
博物館に着くと、その前では沢山の人だかりがしている。みんな壁のくぼみに立っている2体の銅像をじっと注視している。 全く動かないので最初は本当の銅像かと思った・・・・少々色合いがおかしくはあったが・・・・人々の群に混じって私達もじっと注視していると、その内古い機械仕掛けの人形のように、ギギギギ・・と腕が動き出しそれに合わせてゆっくりと首が、目が動いて、新たなポーズに収まると、また微動すらしなくなる。見事なものだ。 
よく見ると足下にはお金を入れる帽子が置いてある。 何枚か写真を撮らせて貰ったので、お礼の意味で小銭を入れてやった。 すると女性像の方が、ゆっくりと首を傾げて私の方に礼をするではないか。その時の眼差しが何と表現したらよいだろう、大変に魅力的だった。私をじっと見るでもなく、かといって見ないでもない、大変に微妙な目の使い方、ただの機械仕掛けではなく何となく色っぽさもあって・・・・私は銅像に恋をしてしまうところであった。

 

 

***************************************************************************************

 

top page      top of this page