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ニューファーム (モートン・イン・マーシュ) (Moreton−in−Marsh)
モートン・イン・マーシュでは「ニューファーム」というB&Bに3泊したが、ここはまさに本当の農家で、周囲には作業小屋、倉庫、馬小屋、家畜小屋等が並び、あたりをがちょうや犬羊等が歩き回っている。その外側には広大な農地が広がっている。 奥さんはスラリとした美人で、田舎臭さは微塵もないが、B&Bと農作業を両方を抱えていてとても忙しい。
私が、あなたの所はとても豊かな農家に見えるが、と尋ねると、経済的には結構大変だとの事。旅行客とおしゃべりする暇はあまり無いようだが、毎朝、ここで絞ったミルクと、自家製のバター・チーズそれにパンを出してくれた。これらはとても美味しかった。
馬 小 屋 (モートン・イン・マーシュ) A Stable (Moreton−in−Marsh)
犬たちは考えている。「さて、これから何をしようか?」 若くぴちぴちした娘さんは、馬から鞍を外すと小屋の奥へと消えてしまった。明るい太陽の下、馬の先になり後になり、汗と共に草原を走るのは一日の大きな喜びだ。しかしその喜びも今となっては過去の事。あと残るは夕食の楽しみだけか………犬たちはいつも暇なのだ。
The dogs are thinking, "What shall I do next?"
The young cheerful landlady disappeared into the stable with the horse.
It is a great pleasure to run in an open field with her. But the time is over.
Now supper is the only pleasure for today.
Dogs are always at a loss how to spend the hours.
催促する馬(モートン・イン・マーシュ) (Moreton−in−Marsh)
娘さんが去ると、やがて馬がぬっと顔を出した。ちょとの間左右をきょろきょろしていたが、そのうちおもむろに扉をあごでたたき始めた。 まるで何かを催促しているかのようだ。
飼い葉や水を要求しているのだろうか。それとももっと走りたいと駄々をこねているのだろうか。きっといつもこうしているのだろう。馬小屋の粗末な扉にはこの動作で付いたであろう白い傷が沢山見られる。
時々遠くで牛や鳥の鳴き声がする以外は、明るい太陽だけが静かに照っている。
この様子を気にとめる風も無く、奥の方では農家の主人がトラックの荷台から荷下ろしをしている。青空を背景にした馬屋のレンガ色とアンテナの上の猫がとても気に入った。
二羽のガチョウ (ニューファームにて) Two geese (Moreton-in-Marsh)
ニューファーム近くの農家の作業場周辺を散歩していたら、二羽のガチョウとばったり出くわした。彼等は自分たちのいつもの散歩道に見ず知らずの侵入者が現れたので、至極ご機嫌が悪い。 二羽でそろって私達を威嚇している。 こうしてみるとガチョウというのはなかなか気が荒いようだ。 ただ、二羽の行動スタイルが全くと言っていいほど同じで、相似形が二つ並んで移動しているようなのがユーモラスだった。
納屋の壁 (ニューファームにて) (Moreton-in-Marsh)
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ヒドコート・マナー・ガーデンへの途中の納屋
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ヒドコウト・マナー・ガーデンの入り口
花園での散策 (ヒドコートマナーガーデン) Walking in the flower garden
ヒドコートマナーガーデンは、世界的に有名な庭園の一つだそうだ。 特徴は様々なスタイル・大きさの庭が作られていることで、その数28。樹木をきちんと幾何学的に刈り込んだ整形式の物や、ごく自然のスタイルに低木の樹木を植え、その間に色とりどりの草花を配した物など様々だが、庭から庭へと巡り歩くのは、何か秘密の花園を探検している様な趣がある。
中にはザ・ロングウォークと呼ばれる長さ50メートル近くはあると思われる長方形の庭もある。この庭には花は一つも無いが、側面は高さ3〜4mほどの垂直に刈り込まれた緑の壁で地面はもちろん緑の芝生。50メートルの緑のプールに入ったような感じ、と言えば大体あたっているだろう。端に立派な門があるが別に道路に通じているわけではなく、かなりの高台にあるため、そこからは、うねうねと続く緩やかな丘陵に展開する牧場や畑が一望でき、牧歌的気分も満喫できる。そんな庭園では、英国人のカップルがゆったりと花を愛でながら散歩している光景をよく見かけるが、彼等の表情はとても幸せそうだ。
秘密の花園達の間はこの様な生け垣で仕切られている
次にどんな庭が現れるかと、このゲートをくぐるたびにわくわくする。
小動物の彫刻の庭
この庭のテーマはニンフの遊ぶ池であろうか。庭の殆どを池が占めており花は池の周りに少しあるだけだ。勿論水の持つ静謐な雰囲気にマッチする気品ある植物が植えられている。そんな中でイルカの顔がユーモラスだった。
ザ・ロングウォーク
一見すると門から館への通路を覗き込んでいるようであるが、そうではない。これ自身で一つの庭なのだ。鉄の門が見えるが、手前に道路があるわけではなく、高台の上の見晴らしのよいバルコニーに連なっているといった嗜好である。
あたりを窺う弟と隠れながら逃げる姉
ここには生け垣で囲まれた大きなステージが配置されている。
この庭園で一番大きな空間だ。ステージへの階段両側には石を彫刻した植木鉢のようなものがあるがなかなか立派な作品だ。
先程から、赤毛の姉弟が鬼ごっこをしているがとても可愛い。
そこここに東屋があるが、その内の一つの壁でこんなレリーフを見かけた。左上は聖霊でそれを見上げているのは司教を経験し聖人に列せられたこの庭園ゆかりの人なのだろう。下に名が彫ってあったが判読出来なかった。長い歳月の間に壁の雰囲気とレリーフが見事に調和して、すでに壁の一部分となっている。
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ストラトフォードの馬車 (ストラトフォード・アポン・エイボン) A carriage at Stratford-upon-Avon
シェークスピア関連のニュープレイスを通りから見物していると、突然馬の蹄と車輪の音。ふと音のする方を見ると今しも馬車がこちらへ曲がってくるところだ。その迫力に思わずカメラのシャッターを切る。二頭立てのどうどうたる馬車で、日本の観光地でよく見かけるのとは訳が違う。 御者がいかにもそれにふさわしい風貌だったのは覚えていたが、今こうして写真を引き伸ばしてみて気がついた。馬車の上には沢山の素敵な表情があったのだ。
We were looking at the New Place from the street.
Then suddenly there were sounds of hoofs and carriage wheels.
A carriage was coming toward us.
I released the shutter at once, but it was only after the picture was printed that I noticed a variety of joyful faces on the carriage.
チューダー朝様式の建物 (ストラトフォード・アポン・エイボン)
シェークスピアゆかりのニュープレイス (ストラトフォード・アポン・エイボン)
ニュープレイスの花壇だが、この造形はエリザベス朝時代そのままだそうである
クリーニング屋の少年 (ストラトフォード・アポン・エイボン)
昼のベンチ (ストラトフォード・アポン・エイヴォン)
今は昼を少し回ったところだ。ここストラトフォードのロイヤルシェークスピア劇場前の公園にはベンチが沢山有るが、そのどれにも家族連れや夫婦連れが腰を下ろしお弁当を広げている。バスケットに詰め込んだ料理を広げている一団もあるが、大半はちょっとした飲物にスーパーで買ったサンドイッチやリンゴだ。噂に聞いていた通り英国人の昼食は質素なようだ。
この写真は深い緑のバックに夫婦の表情が面白かったので写した。 二人はあまりおしゃべりをせず静かにゆっくりとサンドイッチを食べている。パッケージからしてこれは市販の物だ。右端の一人はこの夫婦とは関係ない。
この写真から英国人の生活の一端を解説してみよう。まず立派なベンチであるが、英国では到る所にベンチが有り、それらはとても有効に使われている。つまり、皆散歩が大好きだという事だ。それも、老人から子供まで。(我が家の付近の散歩者は殆ど全部が老人であるが、大きな違いだ。)また、質素な食事に比較して彼等の身なりはきちんとしている。手入れが行き届いた革靴、上等そうな傘、質の良さそうな衣服。この夫婦がインテリの雰囲気を漂わせているのに対し、隣のおじさんは下町風で あるが、それでもズボンの折り目はきちんとしている。 夏場の暑い時期の旅行であったが、くだけた格好の姿はあまり見かけなかったし、どこへ行っても緑や花の手入れが行き届いてい て、ゴミ一つ見かけなかったのは流石であった。
スワンシアター
シェークスピアの像
マクベス夫人の像
エイヴォン川の河畔
鳥に餌をやる少年 (ストラトフォード・アポン・エイヴォン) The boy feeding birds
ストラトフォードのロイヤルシェークスピア劇場付近はエイヴォン川の他に運河もあり、水鳥が沢山遊んでいる。当然彼らに餌を与える人も沢山いるが、この母子に勝るものは誰もいなかった。写真から分かるように、この母子の態度は真摯そのものである。多くの人が「ほら、餌だ」と面白半分に立ったまま餌を投げ与えるのに対し、彼等はひざまずいて「ほら、餌ですよ。食べてくださいね。」といった風情で一生懸命に餌を撒いている。 彼等のきちんとした身なりも鳥達への敬意の現れであるかのように見えてくる。 鳥達もこの二人の愛情を敏感に察して集まってくる。川面での鳥達の配置が、その力関係を表わしていて面白い。まず最も餌に近い良い席は、その体の大きさで他を圧倒する白鳥が占めている。次は雁の仲間であろうか、一番外を鴨などの小型の鳥が取り巻いている。 それをベンチで眺めている人々、乳母車を押した親子連れ、スーツを着て犬を散歩させている働き盛りの男性。英国人の日常生活 の一端を伺う事が出来て楽しい。
シェークスピアの生家 (ストラトフォード・アポン・エイヴォン)
Shakespeare's Birthplace (Stratford-upon-Avon)
シェークスピアが歩いた床 (ストラトフォード・アポン・エイヴォン)
この床の補修の仕方に英国人の古いものに対する敬意の念が象徴されていると思った。白っぽい木は比較的最近の補修、少し黒っぽくなった小さい木はもうしばらく前の補修材だろう。古くからの材料を出来るだけ残そうと苦心している様子が窺われる。
シェークスピアが遊んだ裏庭 (ストラトフォード・アポン・エイヴォン)
シェークスピアが埋葬されているホーリー・トリニティ教会
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